Mandolin弦の考察

楽器用の弦の歴史などに関しては最近の雑誌(Acoustic Guitar Magazine 72号)に特集されているのでそちらを参照していただくとして、マンドリンの場合に「弦」を考えると以下のような推察が得られます。

1:オービル・ギブソンが製作した当初のフラットマンドリンは然程高いテンションの弦を張ることは想定していなかったのではないか?
2:当然ながらバンジョーやドレッドノート・ギターなどとアンサンブルをして、それらに対抗する音量を出すことは考慮されていなかったのではないか?
3:ダダリオ社の弦が普及するまではMaxima(現在はOptima)社などの比較的細いゲージの弦が使われてたのではないか?(注釈)

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Bluegrassという音楽が発生し、マンドリンの役目も次第にアンサンブルの中で重要視されるようになるとバンジョーに負けない音量が先ず求められて来ました。其のためにマンドリンが製作された当初に想定されていた以上の太いゲージの弦を張ることが常となります。当然のことながら楽器に対するストレスが増加する結果となり、現状では最良の材を使用し高い工作精度で製作されたマンドリンにおいてもネックの反り、トップの沈み、ダブテイルのトラブルなどが発生しています。勿論0105-016-026-041という(EJ-75など)弦を長期間使用しても問題のない楽器もありますが、表板やネック接合部など各部分の許容荷重は殆ど限度いっぱいの状態であると考えられます。
強度を優先して厚めのトップや太めのネックを採用してマンドリンを製作すると音量や音色に満足する結果が得られません。

つまり、011-015-026-040(EJ-74)などの現在標準的に使用されているマンドリンの弦は本来のマンドリンの構造に対して限度ぎりぎりのテンションを掛けていると考えられます。

010-014-024-038 (EJ-73)が適度な音量とテンションのセットとして近年発売された背景には、以上のようなこともあったのではないか?と思います。日本のように高温多湿の地域では楽器の日常的な取扱に十分配慮することは勿論ですが、デリケートなマンドリンに無理の掛かる高張力弦を使用することは避けたほうが良いのではないでしょうか。

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もし、高い張力の弦を採用したいと考えておられる場合は、使用されている楽器の構造や特性を考慮しながら、普段の取扱には十分な配慮が必要です。

(注釈)
Optima社のサイトによると2105番のセットにおけるゲージは 010-013-023-036
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by acoustic-h | 2017-06-11 15:42 | マンドリン